ネタバレ注意【モレナの「勝手に産み、疑い、怖れ忌み、傷つけ、許す」の意味するものとは】 交渉ゲームで明らかになったモレナの思想を徹底解説

エイ=イ一家組長 モレナ=プルードが378話で語った
『勝手に生み 疑い 怖れ忌み 傷つけ 許す』
『ふふふ 笑わせる』という言葉にはどんな意味が込められていたのか

□□□□□□□□□□□□
【まず前提】モレナはどんな人生を歩んだのか
□□□□□□□□□□□□
ボークセンとの交渉ゲームで明かされたモレナの話を整理すると、
モレナは謝肉祭によって生まれた祭り子の一人。
祭り子とは王族の欲望を満たすために生み出される存在。
王の血をひきながら、
人として扱われない存在。
守られない。
尊重されない。
人格も認められない。
生まれた瞬間から消費、搾取されるためだけに生きている。
つまりモレナは、
生まれながらにして人間扱いされなかった。
ここが全ての出発点になる。

□□□□□□□□□□□□
「勝手に産み」の意味
□□□□□□□□□□□□
まず最初の言葉。
「勝手に産み」
これは非常に重い。
謝肉祭というしきたりと
不敬罪というカキン特有の法律により、
王族の欲望の結果生まれるのが
祭り子。
生ませた側が責任を取らない。
快楽だけを受け取り、
生まれた子供は切り捨てる。
だからモレナは
「勝手に産み」
という言葉を使ったのだろう。
そこにはカキンへの強い怒りが込められている。

□□□□□□□□□□□□
「疑い」の意味
□□□□□□□□□□□□
祭り子は常に疑われる。
なぜなら王族の血をひく存在でありながら
社会から抹殺された存在だから。
だから
周囲は警戒する。
信用しない。
謀反を起こすのではないか。
王位を狙うのではないか。
生かしておくのは危険なのではないか。
そうやって生まれた瞬間から疑われ続ける。
普通の人間なら信頼から始まる人生が、
モレナ達は疑念から始まる。


□□□□□□□□□□□□
「怖れ忌み」の意味
□□□□□□□□□□□□
祭り子は王族の欲望から生まれた存在。
だから彼らの存在そのものが、
王族社会の闇を映し出してしまう。
祭り子は、
王族にとって都合の悪い真実そのものといえる。

◆モレナは被害を順番に並べている
勝手に産む

疑う

怖れる

忌み嫌う

傷つける

最後に生存だけ許す
という流れ。

祭り子は何もしていない。
それでも生まれた瞬間から疑われている。
つまり問題視されているのは行動ではなく、
存在そのものなのだ。
◆怖れる理由① 王族は祭り子を見ると自分達の罪を思い出す
祭り子は王族の闇から生まれた存在だ。
謝肉祭。
権力。
搾取。
支配。
そうした王族社会の負の側面が形になった存在とも言える。
だから祭り子の存在自体が、
王族からすれば自分達が行ってきたことと向き合わされることになる。
一般的な人間社会においても、
加害者は被害者の存在を避けたがることがある。
被害者を見るたびに、
自らの罪を思い出してしまうからだ。
祭り子に対する嫌悪や排除は、
後ろめたさから生じていた可能性があるという解釈。
◆怖れる理由② 二線者は王位継承の火種になる
二線者を含め祭り子の顔が裂かれる理由として説明されているのがこれだ。
祭り子は王族の血を引いている。
しかし王位継承権どころか、人として扱われていない。
この立場は非常に危うい。
このため
不満を抱けば反乱の象徴になり得る。
仲間を集めて謀反を起こす可能性もある。
歴史上でも、
婚外子や庶子が王位争いの中心になる例は数多く存在した。
つまり王族から見れば、
二線者を含めた祭り子は潜在的な脅威なのだ。
つまりモレナの語る
「疑い」
には、
まだ何もしていない者を将来の敵として
王族が警戒する意味が含まれている。
◆怖れる理由③ 血統社会にとって曖昧な存在だった
カキン王国は極端な血統社会。
正統王子。
二線者。
一般国民。
不可自民。
明確な階層によって構成されている。
ところが二線者に選ばれなかった多数の祭り子は違う。
王族の血を持つ。
しかし認められない。
王族にもなれず
一般人でもない。
存在そのものが曖昧なのだ。
こうした社会では、
曖昧な存在は嫌われやすい。
制度に当てはまらないからだ。
祭り子はまさにその象徴だった。
◆怖れる理由④ 王族は心底怖れていた
最も重要なのはここ。
モレナは
「疑い」
だけではなく
「怖れ」
とも語っている。
これは
本物の恐怖を抱えている可能性が高い。
なぜなら祭り子は、
王族制度最大の被害者だからだ。
もし真実を知ったら。
もし怒りを抱いたら。
もし団結したら。
誰よりも王族を憎む存在になる。
そして現在のモレナがまさにその姿である。
つまり王族は、
祭り子そのものというより、
祭り子が将来変貌する可能性を怖れていた。

□□□□□□□□□
忌み
□□□□□□□□□
これは相手が自分たちにとって何らかの脅威であると
感じている時に出てくる感情。
人間の心理としても、
自分が悪いことをした相手
自分の罪を知っている相手
自分の偽善を暴ける相手
に対しては、嫌悪と同時に恐怖を抱きやすい。
例えば歴史上でも、
農民の生活を苦しく貧しいものに追い詰めた大名は一揆をおそれ、
奴隷制度を維持していた支配者層は反乱をおそれた。
それは「自分たちが恨まれて当然」と
どこかで自覚していたからにほかならない。
もし謝肉祭が長く続いている制度なら、
王族の中にも様々な人がいたはず。
これはおかしい
やめるべきだ
だが伝統だからやめられない
王族だから従うしかない
という葛藤を抱えた者もいたかもしれない。
その場合、祭り子は王族にとって非常に厄介な存在になる。
なぜなら祭り子の存在により
「自分たちが続けている制度の犠牲者」
として向き合わなければならないから。

□□□□□□□□□
 傷つけ
□□□□□□□□□
「傷つけ」が意味するもの。
生まれてすぐ顔を傷付ける。
二枚刃で顔を大きく裂く。
一生消えない傷を残す。
これは単なる差別ではない。
身体への刻印。
王族社会は、
お前は違う
お前は下だ
お前は表舞台に立つな
というメッセージを、
文字通り身体に刻み込んでいる。
だからモレナにとって傷は、
差別の象徴であり、
人生そのものだった。

□□□□□□□□□
許す
□□□□□□□□□
最も皮肉な「許す」
ここが最も恐ろしい。
なぜなら、
そもそも許される立場ではないからだ。
生ませたのは王族。
傷付けたのも王族。
差別したのも王族。
にもかかわらず、
生存だけは許してやる
という構図になっている。
内情を知るモレナからすれば、
加害者が被害者に恩を売っているような構図になっている。
全部お前達が始めたことではないか、
モレナにはそう見えていたはずだ。
だからモレナの
「ふふふ、笑わせる」
という言葉に繋がる。

◆モレナは王族の恐怖を証明した

王族は、
祭り子を生み出す。

危険視する。

隔離する。

傷を刻む。

差別する。

生存だけ許す。
その結果、
モレナという存在が生み出された。
モレナは王族の特権さえ投げ出し、
命がけで謀反を起こそうとしている。
つまり王族が恐れていた懸念が現実のものとなっている。

◆まとめ
モレナの
「勝手に産み、疑い、怖れ忌み、傷つけ、許す」
という言葉は
生まれたことを歓迎されず、
疑われ、
怖れられ、
傷付けられ、
最後は恩着せがましく生存だけを許されるという
カキン国の王族社会の本質そのものを表している。
祭り子は王族の欲望から生まれた。
しかしその存在は王族にとって都合が悪かった。
罪を思い出させる。
王位継承の火種になる。
制度の矛盾を露呈させる。
将来の復讐者になる可能性がある。
だから疑われ、
怖れられ、
忌み嫌われ、
傷を刻まれ
隔離され
社会から抹殺された存在にされている。
そして
その結果として生まれたモレナこそ、
王族が本当に怖れていた脅威そのものになっている。
モレナはカキン王族社会が自ら作り出した、
最も正直な鏡だったのかもしれない。

– 各話解説
401話『月光』
402話『手紙』
403話『成果』
404話『思惑』
405話『芝居』
– 406話『神器』
‐ 407話『交渉』
408話『交渉②』

コメント

タイトルとURLをコピーしました